2004年2月24日


アミノ酸系甘味料アスパルテーム職務発明訴訟判決について
 本日、東京地方裁判所において、当社元従業員の提起したアスパルテーム職務発明訴訟について、判決がなされました。当社の主張が認められなかったのは、大変残念です。
判決書の内容を十分検討のうえ、控訴の方向で対応を考えていきます。

<各論点についてのコメント> 
(1)事業の位置づけ、職務発明の位置づけ
 当社はアスパルテームの研究開発を、すでに1970年代から進めていました。当社がアスパルテームの基本特許を持つサール社と信頼関係を築いてライセンスを受け、原告の発明とはなんらの関係なしに製法を開発しました。またアスパルテームを商業的に販売するためには食品添加物の許認可が必要であり、当社が裏づけとなる膨大な実験をして商品化しました。
アスパルテームの製造には100件以上の特許が使用されていますが、その核心技術は、原料アミノ酸(L−アスパラギン酸、L−フェニルアラニン)の製造技術と原料からのアスパルテーム製造技術であり、本件職務発明ではありません。それは、あくまでも製造工程の一部についての製法改良の発明にすぎません。
(2)会社貢献について
 判決は会社貢献を95%と認定しましたが、上記の会社貢献や原告以外の人々が営々として行ってきた、アスパルテーム事業に関する努力や協力を正当に評価していないものであり、甚だ遺憾です。
(3)外国特許、消滅時効について
 判決で外国特許の分についてまで対価の算定根拠とされたのは、改正法の立法経過に鑑み、納得がいきません。時効については、会社の善意で報奨金1千万円を支払ったことが、時効主張を許さない結果となり、割り切れません。
(4)その他
 会社としては、原告を上級基幹職としてまた関係会社社長にまで任用し、退職後も技術顧問として厚遇しました。また、規程に則った、相当な報奨金1千万円を贈呈したにもかかわらず、このような処遇や対応について適正な評価がなされなかったことは、遺憾です。