2004年7月29日

アミノ酸ビジネスに216億円の大型投資
・ブラジルに2つの新工場建設
(飼料用リジン第2工場、世界最大規模の医薬用・食品用アミノ酸工場)
・中国・米国で飼料用アミノ酸工場を増設

 味の素株式会社(社長:江頭邦雄 本社:東京都中央区)は、ブラジル、中国、米国に飼料用アミノ酸と医薬用・食品用アミノ酸の工場を新増設します。総投資額は約216億円です。
ブラジルは、コスト競争力が高く、原料が豊富で、人材能力も高く、グローバル供給拠点として位置づけ、飼料用リジン第2工場と世界最大規模の医薬用・食品用アミノ酸工場を新設します。また中国では飼料用リジンを、米国では飼料用スレオニンを増産し、アミノ酸事業を更に強化します。
これにより、更なるアミノ酸用途の広がりと市場拡大を目指します。

今回の投資は以下の通りです。

1.
飼料用アミノ酸:6ヵ国の生産拠点を更に拡大・増強(フランス、イタリア、米国、タイ、中国、ブラジル)

(1)
味の素ビオラティ−ナ有限会社(本社、工場:ブラジル サンパウロ州)にて、飼料用リジン第2工場を新設します。建設に伴う総投資額は260百万レアル(約95億円)、生産量は5万3千トン/年で2006年9月に完工予定です。
味の素ビオラティ−ナ有限会社は1997年よりバルパライソ工場にて7万2千トンの飼料用リジンを生産しており、2つの工場を併せた生産能力は、12万5千トンへ増加します。


(2)
川化集団有限責任公司と共同して、川化味の素有限公司(本社、工場:中国 四川省成都市)にて、飼料用リジンの生産設備を増強します。設備投資額は220百万元(約30億円)、2005年12月の完工を予定し、生産能力を年間1万5千トンから3万2千トンへ増強する予定です。


(3)
味の素ハ−トランドLLC(本社:米国 イリノイ州、工場:アイオワ州)にて、飼料用スレオニンの生産設備を増強します。設備投資額は23百万米ドル(約25億円)で2006年2月の完工を予定し、生産能力を年間1万トンから2万トンへ倍増する予定です。

2.
医薬用・食品用アミノ酸:5ヵ国目の生産拠点を新設(日本、米国、ベルギー、中国、に加えブラジル)


味の素インテルアメリカーナ有限会社(本社:ブラジル サンパウロ州)に医薬用・食品用アミノ酸の新工場を建設します。新工場は4千トンの生産能力を有する世界最大規模の工場で、建設に伴う総投資額は188百万レアル(約66億円)、2005年後半には本格的に生産開始をする予定です。


味の素グループは高品質なアミノ酸の安定供給とより良いサービスの提供を通じてお客様に貢献してまいります。

【添付資料】
1.
飼料用アミノ酸:世界全領域への供給安定化を目指して
1−1.ブラジルに飼料用リジン第2工場新設
 
 AJINOMOTO ANIMAL NUTRITION グル−プは、拡大を続ける飼料用リジン市場でのパイオニアとして、より磐石な供給体制を構築すべく、現在世界に保有する6工場の生産能力を2003年度末の27万トン/年から2005年度末までに30万トン/年とすることを目指しています。飼料用リジンの世界市場規模は2003年で約70万トンと推定され、今後も年間7〜8%の成長が見込まれています。今回のブラジルにおける第2工場は、更に長期的な視点に立ったグル−プの供給能力を拡充するための拠点であり、中国、北米等を始めとした世界全地域への供給を視野に入れたグロ−バル対応型の工場とする計画です。
 
 

(1)味の素ビオラティーナ(有)の概要:

・ 社名

Ajinomoto Biolatina Indústria e Comércio Ltda.

・ 設立

1975年6月23日

・ 本社所在地

Rua Joaquim Tavora 541, Vila Mariana, 04015-901 Sao Paulo, SP, Brazil

・ 社長

酒井 芳彦

・ 主力製品

調味料、飼料用リジン

・ 資本金

BRL108,839,488

・ 従業員

298名(2004年4月30日現在)



(2)味の素ビオラティーナ(有) 第2工場(ペデルネイラス工場)の概要

・ 工場所在地

サンパウロ州ペデルネイラス市(サンパウロ州のほぼ中央に位置する)

・ 生産開始

2006年9月(予定)

・ 生産能力

53,000トン/年




1−2.中国で飼料用リジン生産能力を倍増

中国は急速な需要拡大が見込まれる地域であり、この度の川化味の素(有)における増産は、この需要拡大に応え、中国での安定供給を目的としております。



(1)川化味の素(有)概要

・ 社名

川化味の素有限公司

・ 設立

1994年 10月1日

・ 出資比率

味の素(株)70% 川化集団有限責任公司30%

・ 本社所在地

中華人民共和国 四川省成都市青白江区

・ 董事長

蘇 重光


・ 総経理

川嶋 伸樹

・ 主力製品

飼料用リジン

・ 従業員

186名(2004年6月1日現在)



(2)川化味の素(有)工場概要

・ 工場所在地

同上

・ 生産開始

1996年5月

・ 工場長

川嶋 伸樹


1−3.米国で飼料用スレオニン生産能力倍増

 AJINOMOTO ANIMAL NUTRITION グループでは、欧州に味の素ユ−ロリジン社(本社:フランス、パリ)に年間3万5千トンの飼料用スレオニン生産能力を有しており、今回の米国での設備投資により、全世界で年間5万5千トンまで生産能力を増強し、今後も急速な需要拡大が見込まれる飼料用スレオニン市場の更なる開拓を行い、全世界での安定供給を図ります。

飼料用スレオニンの市場規模は2003年で約5万トンと推定され、過去3年間の平均伸長率は 20%を超え、今後も2桁を超える高成長を維持するものと見込まれています。
この高い市場の伸びの背景として、欧米を中心に家畜の排泄物過多から窒素汚染による環境問題が深刻化していますが、飼料用アミノ酸の使用により飼料の低タンパク化が図られ、土壌、大気への総窒素排泄量及びアンモニア排出量を大幅に削減することが知られています。同時に、大豆など限りある天然タンパク源を節約することができ、飼料用アミノ酸の需要拡大により、世界の食糧問題にも貢献しています。


(1)味の素ハ−トランドLLC概要

・ 社名

Ajinomoto Heartland LLC

・ 設立

1984年 10月1日

・ 本社所在地

8430 West Bryn Mawr Ave. Suite 650 Chicago, IL 60631-3421 U.S.A.

・ 社長

手島 知一

・ 主力製品

飼料用リジン、飼料用スレオニン

・ 従業員

114名(2004年6 月1日現在)

(2)味の素ハ−トランドLLC エディビル工場概要

・ 工場所在地

Heartland Drive, Eddyville, IA 52553, U.S.A.

・ 生産開始

1986年8月

・ 工場長

Dale Rowland

・ 従業員数

99名(2004年6月1日現在)

・ 生産能力

飼料用リジン      5万トン/年
飼料用スレオニン   1万トン/年



現「味の素ハ−トランドLLC
エディビル工場」






2.医薬用・食品用アミノ酸:ブラジルに世界最大規模の工場新設


 医薬用途のアミノ酸は従来の輸液・医療食原料としての利用に加え、最近では免疫機能の増強、神経系疾患の症状緩和、創薬研究への利用展開が進められています。さらにここ数年は飲料・健康食品用途での需要増がめざましく、現在世界需要は約1万7千トン、さらに拡大の一途を辿っています。当社は医薬用・食品用アミノ酸の約60%のシェアを有しており、これら伸長する世界需要に応えるため、新たに工場を建設し、最新技術の導入により、数品種の高品質なアミノ酸を、安定的・効率的に生産します。

 新工場の立地にブラジルを選定した理由は、(1)ブラジルは既に当社グループが「味の素」(グルタミン酸ナトリウム)や飼料用アミノ酸の生産工場を複数保有しており、高い生産技術や経験豊かな人材を有していること、(2)発酵主原料である‘さとうきび’由来の粗糖の調達に適していること、(3)建設地はリメイラ市内にある当社グループの食品工場(味の素インテルアメリカーナリメイラ工場)に隣接しており、技術や資源の活用が容易であること、等が挙げられます。
この度の新工場建設に関しては、医薬c-GMPによる生産管理を導入し、医薬品工場の建設・設備導入に優れた会社と提携し、米FDA(食品医薬品局)の許認可取得の経験豊富な人材を投入します。また既存のリメイラ工場同様、ISO9001-2000、ISO14001にも対応を致します。
当社は、日本、米国、欧州、中国に続き、ブラジルにも医薬c-GMPや各国の食添基準に対応する生産拠点を置くことにより、アミノ酸のリーディングカンパニーとしてさらなるグローバルな事業展開を目指します。今後も高品質のアミノ酸とその関連製品及びサービスの提供を通して、世界の人々の健康、そしてQuality of Lifeの向上に貢献してまいります。


(1)味の素インテルアメリカーナ有限会社の概要

・ 社名

Ajinomoto Interamericana Industria e Commercio Ltda.

・ 設立

1974年12月

・ 本社所在地

ブラジル共和国 サンパウロ州 サンパウロ市

・ 社長

酒井 芳彦

・ 資本金

72百万レアル(約24億円)

・ 株主構成

味の素(株) 99.99%

・ 生産販売製品

調味料、加工食品、甘味料、香粧品等の生産、 及びアミノ酸、甘味料の販売



現「味の素インテルアメリカーナ(有)リメイラ工場」


(2)味の素インテルアメリカーナ有限会社 新リメイラ工場(アミノ酸)の概要

・ 工場所在地

ブラジル共和国 サンパウロ州 リメイラ市

・ 生産開始時期

2005年後半を予定

・ 生産品目/生産能力

市場の状況に併せた数品種、生産能力は4,000トン

・ 工場建設費

工場建設に伴う総投資額は188百万レアル(約66億円)

3.
参考資料
3−1.飼料用アミノ酸の世界展開

飼料用アミノ酸ビジネスは、世界6ヵ国(フランス、イタリア、米国、タイ、中国、ブラジル)に生販拠点を持ち、“AJINOMOTO ANIMAL NUTRITION” グループとして、グロ−バルな展開をしています。AJINOMOTO ANIMAL NUTRITION グループは、飼料用アミノ酸の利用拡大を通じて、限りある食料資源の有効活用、かけがえのない地球環境との調和、安全かつ高品質な食料供給に貢献することをミッションと考えています。今後も高品質な飼料用アミノ酸の安定供給と、地域に密着したカスタマ−サービスを行ない、お客様に貢献してまいります。






(飼料用アミノ酸について)

1)
飼料用リジンは、養豚の第一制限アミノ酸、養鶏の第二制限アミノ酸として飼料に配合することにより、家畜の成長を促進し、飼料効率の向上により飼料コストを低減します。

2)
飼料用スレオニンは、養豚の第二制限アミノ酸として、第一制限アミノ酸である飼料用リジンに加えて飼料に配合することにより、家畜の成長を促進し、飼料効率の向上により飼料コストを低減します。






(AJINOMOTO ANIMAL NUTRITION グル−プの生販拠点)


フランス

味の素ユーロリジン(株) / AJINOMOTO EUROLYSINE S.A.S.


イタリア

味の素ビオイタリア(株) / AJINOMOTO BIOITALIA S.p.A.


米国

味の素ハートランドLLC / Ajinomoto Heartland LLC (.)


タイ

タイ味の素(株) / Ajinomoto Co., (Thailand) Ltd. (タイ)


中国

川化味の素(有) / Chuanhua Ajinomoto Co., Ltd. (中国)


ブラジル

味の素ビオラティーナ(有)/ Ajinomoto Biolatina Indústria e Comércio Ltda.





3−2.医薬用・食品用アミノ酸の世界展開

医薬用・食品用アミノ酸ビジネスは、世界5ヵ国(日本、米国、ベルギー、中国、ブラジル(新工場))に生産拠点を持ち、この度の新工場は9ヵ所目の生産工場です。

アミノ酸事業は、「高品質のアミノ酸とその関連製品およびサービスの提供を通して、世界の人々の健康、そしてQuality of Lifeの向上に貢献する」を事業理念に掲げ、世界のパイオニアとして技術力や安定供給力を背景に約20種類の医薬用・食品用アミノ酸の製造販売を行っています。世界トップレベルの発酵技術を生かし研究・開発・生産・販売の推進に取り組んでいます。また、アミノ酸の有用性研究や新素材・新規用途開発など、顧客ニーズをサポートしながらマーケットの拡大に向け、さまざまな活動を展開しています。
アミノ酸の用途は幅広く、輸液や経腸栄養剤など臨床栄養分野をはじめ、医薬品原料、サプリメントやフレーバーなど食品、化粧品原料、医薬中間体原料など広い範囲に及んでいます。幅広い業界への利用とグローバルな広がりはアミノ酸事業の大きな特徴の一つです。






(医薬用・食品用アミノ酸 世界の生産拠点)


日本

川崎事業所、東海事業所、九州事業所、日本プロテイン(株)


米国

味の素アミノサイエンスLLCノースカロライナ工場


中国

味の素蓮花アミノ酸(有)、上海味の素アミノ酸(有)


ベルギー

味の素オムニケム(株)


ブラジル

味の素インテルアメリカーナ(有)新リメイラ工場

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