2005年2月3日
ブラジルに建設中の医薬用・食品用アミノ酸新工場で
グルタミン・BCAAを生産 全世界に供給
〜新工場の生産能力は年間4,000トンで世界最大規模〜



 味の素株式会社(社長:江頭邦雄 本社:東京都中央区)は、味の素インテルアメリカーナ有限会社(社長:酒井芳彦 本社:ブラジル サンパウロ州)がリメイラ市に現在建設中のアミノ酸工場で、医薬用・食品用のグルタミン*と分岐鎖アミノ酸**(BCAA=Branched Chain Amino Acids)であるバリン・ロイシン・イソロイシンの計4品目を生産します。リメイラ新工場は世界最大規模の医薬用・食品のアミノ酸工場で、総投資額は188百万レアル(約66億円)です。

 グルタミンは2005年後半、BCAAの3品目はその一年後より本格的に生産、販売を開始します。総生産数量は現在のところ年間4,000トンを予定し、ブラジル国内での販売はもとより、米州・欧州・アジア各国・日本等にも広く輸出をします。

 新工場での生産品目を今回グルタミンとBCAAにした理由は、医薬用途・食品用途でのこれらの品目の世界需要が近年飛躍的に高まっていることが挙げられます。医薬用・食品用アミノ酸は従来の輸液・医療食原料としての利用に加え、免疫機能増強、神経系疾患の症状緩和、創薬研究等での利用が増えています。さらにここ数年は飲料、健康食品・サプリメント用途向け市場も拡大、現在の世界需要は年間約17,000トンにまで成長しています。グルタミン・BCAAはこうした成長市場において、特に重要なはたらきを持つアミノ酸として高く評価されており、現在も様々な商品開発が進められています。味の素グループは世界の医薬用・食品用アミノ酸市場において60%のシェアを保有しており、これらの品目の世界需要の伸びに対応すべく、既存の工場に加え新工場を建設し増産を図ります。

 当グループは既に世界に8ヶ所の医薬用・食品用アミノ酸の生産拠点を設けており、今回のリメイラ新工場は9ヶ所目となります。医薬c−GMP***による生産管理、米FDA(食品医薬品局)の許認可取得、ISO9001−2000、ISO14001にも対応し、高品質なアミノ酸を効率的かつ安定的に生産します。

 ブラジルに工場を建設する理由としては、(1)当社グループが既に「味の素」や飼料用アミノ酸の生産工場を同国内に複数保有しており、高い生産技術や経験豊かな人材を保有していること、(2)発酵主原料である‘さとうきび’由来の粗糖の調達に適していること、(3)今回の建設地がグループの既存食品工場と隣接、技術や資源の活用が容易であること、が挙げられます。

 当グループはアミノ酸のリーディングカンパニーとしてさらにグローバルな事業展開を目指します。今後も高品質のアミノ酸とその関連製品及びサービスの提供を通して、世界の人々の健康、そしてQuality of Lifeの向上に貢献します。

グルタミン *  :  グルタミンは生体に最も多く存在するアミノ酸で、胃や腸の維持やエネルギー源となり、筋たんばくの維持、増量にも関わっています。また免疫能の維持改善にも重要なはたらきを持っています。さらに、体内のアルコール代謝を促進し、肝臓の働きを助ける作用もあります。これらのはたらきから、潰瘍治療薬、患者向けの栄養剤成分やスポーツ栄養食品、また基礎研究における細胞培養の栄養源(培地)として利用されています。
分岐鎖アミノ酸 **  :  必須アミノ酸の中で分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれるバリン、ロイシン、イソロイシンは、特に骨格筋の維持、増量において最も重要なはたらきをなしています。また、運動時に体内で筋肉のエネルギー源としても利用され、疲労感を軽減する可能性も報告されています。これらのはたらきにより、手術前後の患者向けの輸液などの栄養剤に多用されているほか、スポーツ栄養食品などにも利用が高まっています。
医薬c−GMP ***  :  Current−Good Manufacturing Practice
アメリカにおける現行の医薬品製造基準ですが、国際的に通用するとされています。

1.味の素インテルアメリカーナ有限会社の概要
・ 社名 Ajinomoto Interamericana Industria e Commercio Ltda.
・ 設立 1974年12月
・ 本社所在地 ブラジル共和国 サンパウロ州 サンパウロ市
・ 社長 酒井 芳彦
・ 資本金 72百万レアル(約24億円)
・ 株主構成 味の素(株) 99.99%
・ 生産販売製品 調味料、加工食品、甘味料、香粧品等の生産及びアミノ酸、甘味料の販売
 
2.味の素インテルアメリカーナ有限会社 リメイラ新アミノ酸工場の概要
・ 工場所在地 ブラジル共和国 サンパウロ州 リメイラ市
・ 生産開始時期 2005年後半
・ 生産品目 グルタミン・バリン・ロイシン・イソロイシン
・ 生産量 4,000トン
・ 工場建設費 工場建設に伴う総投資額は188百万レアル(約66億円)


【添付資料:アミノ酸事業の概要】
 味の素(株)のアミノ酸事業は、「高品質のアミノ酸供給を通じ、世界の医療、ヒト栄養、そして科学の発展に貢献する」を事業理念として掲げ、活動を推進しています。アミノ酸の世界トップメーカーとして現在国内外8ヵ所の生産拠点を有し、技術力と安定供給力を背景に約20種類の医薬用・食品用アミノ酸の製造販売を行っています。世界トップレベルの発酵技術を生かした生産能力の高い菌や発酵プロセスの開発、グローバルな生産・販売ネットワークの推進に取り組んでいます。また、アミノ酸の有用性研究や新素材・新規用途開発など、顧客ニーズをサポートしながらマーケットの拡大に向け、さまざまな活動を展開しています。
 医薬用および飲料・健康食品用の高品質アミノ酸市場は世界で年間約1万7千トンと推定されており、現在さらに急拡大を続けています。それらの中で当社は約60%のシェアを保有しています。アミノ酸の用途は幅広く、輸液や経腸栄養剤など臨床栄養分野をはじめ、医薬品原料、サプリメントやフレーバーなど食品、化粧品原料、医薬中間体原料など広い範囲に及んでいます。幅広い業界への利用とグローバルな広がりはアミノ酸事業の大きな特徴の一つです。
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