AJINOMOTO CO., INC. Recruiting Information for New Graduates 2017

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プロジェクト MISSION 03

PROJECT INDEX トップアスリートを支える「アミノバイタル®」を開発

 激しく自分を追い込むトップアスリートのために、
 研究者たちもトップスピードで駆け抜けた。

  • 小笠原 和子

    小笠原 和子

    化成品部
    香粧品リテイルグループ
    1999年入社 技術系Lコース

  • 加藤 弘之

    加藤 弘之

    イノベーション研究所
    フロンティア研究所
    栄養健康基盤研究グループ
    2004年入社 技術系Lコース

  • 向山 洋人

    向山 洋人

    食品研究所 商品開発センター
    生産技術グループ
    1999年入社 技術系Lコース

  • 平野 知子

    平野 知子

    食品研究所 商品開発センター
    ヘルスケア食品グループ
    1994年入社 技術系Mコース

  • 大平 琢哉

    大平 琢哉

    食品研究所 技術開発センター
    食感制御技術グループ
    2008年入社 技術系Lコース

EPISODE 01

味の素KKのアミノ酸技術を結集した
「アミノバイタル®」史上最高リカバーへの挑戦。
 その敵は、時間という壁だった。

「挑戦、するのですね?」
味の素KKでは、長年にわたり世界に挑むトップアスリートに対するサポートを行ってきた。そして今回、1年半後に迫った競技大会に向けて、「スポーツ栄養科学研究の成果を集約し、「アミノバイタル®」シリーズ史上最高の製品を実現せよ」というミッションが下った。プロジェクトのリーダーは、健康ケア開発企画部で「アミノバイタル®」シリーズの開発を担当していた小笠原和子に委ねられた。
「まず思ったのは『時間がない!』ということ。私は冷徹なタイムキーパーになることを決意しました」

すでにアスリートたちに愛飲されている「アミノバイタル® プロ」という製品がある。今回は、これを超える挑戦だ。しかし、「超える」とはどういうことなのか。
「ヒアリングすると、ほとんどのトップアスリートが運動時のコンディショニングのために「アミノバイタル® プロ」を摂取していました。「アミノバイタル® プロ」はアミノ酸と8種類のビタミンが配合されており、スポーツ中・後のコンディショニングに最適なのです。一方で、「味の素ナショナルトレーニングセンター」利用者への調査では、89%が「運動による負担」に悩まされており、85%が翌日以降の練習やトレーニングに支障をきたしていることが確認されました」

「アスリートは、毎日カラダにかなりの負荷をかけています。そこで、『どの国の選手たちより自分を追い込み、メダル獲得を目指す選手のために、「アミノバイタル®」史上最高のリカバー品質を実現しよう』と決意しました」
議論は一気に佳境に入った。パフォーマンスを生むのはカラダである。ならば競技中もカラダを良好な状態に保つことができれば、パフォーマンスは向上するのではないか。
「つまり、すみやかにリカバーできるようにサポートすればいい。そこにたどり着いたとき、すでにスケジュールはギリギリでした」

リカバーに最も重要な栄養素は、分岐鎖アミノ酸を中心とする必須アミノ酸である。問題は組成だ。どんなバランスでアミノ酸を摂取するのがベストなのか。その研究は、栄養健康基盤研究グループの加藤弘之に託された。

EPISODE 02

 無限の組み合わせの中から、
 最高のアミノ酸レシピを見つけ出す。
 試行錯誤は、延々と続いた。

「組み合わせは、無限なんだよなぁ」
アミノ酸とカラダに関する論文や、過去の「アミノバイタル®」開発に関する書類に目を通しながら、加藤はため息をついた。
「ヒトの筋タンパク内に含まれる必須アミノ酸の約35%は、ロイシン、イソロイシン、バリンという分岐鎖アミノ酸です。リカバーを主眼に置くなら、ロイシンを中心とした組成にするのがベスト。しかし他の必須アミノ酸も不可欠で、全9種類の配合バランスは無数にあります」
ビタミンなど、アミノ酸以外の有用成分も考えられる。そうなると、組み合わせは無限だ。「限られた時間の中で、どれだけ多く試すことができるか。効率的に進めていくことが重要でした」

文献に目を戻した加藤は、有用と思われる組み合わせを素早くピックアップしていった。大学時代からアミノ酸を研究し、自分自身がオリエンテーリング競技で日本代表になった経験もある加藤には、アミノ酸とカラダに関する「独自の嗅覚がある」と、小笠原は期待していた。
「これまでのアミノ酸研究の成果は、すべて彼の脳みそに刻み込まれていると信じていたので、全面的に信頼して任せていました」と小笠原は語る。

「さて、どうしようか」
加藤は研究所で考え込んだ。机上と試験管レベルでの組成研究は、可能な限り追い込んだ。しかしアミノ酸とカラダの関係は、生体でしか確認できない。どのように確認すべきか。
「どんな強度の運動をどれだけしたら、アスリートが激しい運動をした状態と同等と言えるのかがわかりません。プロジェクトのメンバーはもちろん、他の研究者とも相談しながら、運動強度や時間、負担の測定方法など基準を作成していきました。この作業が一番大変だったかもしれません」
さまざまな実験を繰り返し、加藤はじわじわと製品レシピを確定させていった。しかし、「可能な限りよいものを」という研究者魂は、レシピの決定をじりじりと遅らせる結果となった。

それをのんびりと待ってはいられないメンバーがいた。製品開発の任を受けた、向山洋人と平野知子だ。

EPISODE 03

レシピを待たずに、製品づくり開始!
 苦みのあるアミノ酸を、
 おいしく飲みやすい顆粒に加工せよ。

「もう、つくっちゃいましょう!」
製品の味づくりを任されたヘルスケア食品グループの平野は、明るく言い放った。「レシピが変わったら、微調整すればいいんです。ヒト試験に間に合うように基準となるものを何パターンかつくって、決定を待ちましょう」
加工を担当する生産技術開発グループの向山は、苦笑しながらうなずいた。「そうだね。研究に十分な時間をかけてもらうためにも、それがいい」

向山は言う。「アミノ酸は、それぞれ物性が違います。それを複数組み合わせるには、アミノ酸の設計に応じて最適な原料を選び、配合を組み立てる必要があります。配合量によって粘性が変わるので、造粒技術も微妙に変わります。造粒性は口溶けも左右しますので、造粒条件の調整が必要です。どんな配合でもスムーズに加工できるよう、可能な限りのテストを行いました」

配合原料に何をどれだけ使うかは、製品の味を決める大きな要素でもある。
「アミノ酸は、苦くて独特のにおいがあります。それをマスキングするのが私の大きな仕事でした。飲みやすくするのは簡単で、各種素材や香料を大量に添加すれば苦味を制御できます。しかし添加する素材の量が増えれば摂取量も増え、消化吸収に負担をかけます。おいしくて、手軽に飲み続けられるものにしなければなりません」
平野を特に悩ませたのは、アミノ酸の配合量の多さだ。「アミノ酸の配合量は、「アミノバイタル®」史上最大の約4gに決まる可能性が高かったのです。短期でこの苦味をマスキングするために、「アミノバイタル®」の過去の知見に目を通し、試作品をつくり込んでいきました」

「仮決定レシピ」の連絡が届くと、ふたりはすぐに4種類の試作品を完成させ、ヒト試験用に大量のサンプルを送った。
「あとは結果待ちだったのですが、来ないんですよ、最終決定の報告が」と平野は笑う。「翌年4月にはアスリートに提供しなければいけないのに、12月に入ってもアミノ酸の最終配合が決まりません。覚悟を決めました」と向山も言う。

その頃、もうひとりのメンバーが苦闘していた。ヒトでの検証データを担当した、健康価値開発グループ(当時)の大平琢哉だ。

EPISODE 04

 ヒト試験は、一発勝負。
最小限の試験で最大のデータを得るよう
 綿密な試験設計を行う。

「ありがとうございます」
大平は、電話に向かって頭を下げた。ヒト試験を提携して行う、スポーツ医学の権威である大学教授からの「準備OK」の連絡だった。製品提供が迫る中、測定や手続きに時間のかかるヒト試験は実質的に一発勝負だ。
「どんなヒトを対象に、どのような運動負荷をかけ、どのタイミングで「アミノバイタル®」を飲んでもらい、どのようなデータを取ればいいか、試験の設計には時間をかけました。失敗は絶対に許されませんから」

まず試験に参加してもらうヒトの選定とスケジュール管理に、大平は頭を悩ませた。
「新しい「アミノバイタル®」を摂取して運動してもらい、一週間にわたって各種データを計測します。トップアスリート向け製品ですので、彼らを対象にするのが理想のように思えますが、彼らは普段のトレーニングで負担の高い状態にあり、その程度を正確に評価するのが難しい。それに、『負担の程度を測定するので、一週間は運動禁止です』とは言えません」

今回は、客観的指標と主観的指標、2種類のデータを取る。客観的指標は、血液を採取して測定。主観的指標は運動した本人がどれくらい負担を感じなくなったかを申告してもらう。「あいまいな申告でなく科学的に測定するために、VASという方法を採用し、日常の運動によって状態が変わりにくいカラダの部位を測定対象にしました」

ヒト試験が開始されたのは秋だった。向山と平野が用意した試作品を用いた試験は、なんとか無事に終了する。「データの集計は、教授の研究室にお願いしていました。まさに一日千秋の思いで結果を待つ日々でした」
そして季節は冬。ようやく届けられたデータを解析した結果、負担からのリカバー程度を読み取ることができた。
「すぐに検討会議を行った結果、基本レシピは変えずに微細な調整のみを行うことが決定。製品づくりは、ようやく加工プロセスに委ねられました」。

カレンダーを見ると、製品提供開始予定の春が目前に迫っていた。

EPILOGUE

 研究者が競技大会の現地に入り、アスリートを支援。
 90%のアスリートから支持され、製品化も実現。
  しかし「次」の研究は、もう始まっている。

2012年春、「アミノバイタル® GOLD」と名付けられた新製品は、トップアスリートたちに届けられた。
「年末年始に最終の製造・包装テストを行い、一回でOKを出せました。製造工程でもまったくトラブルが起こらず、予定通り4月から競技大会終了までの4ヶ月間、約300人のアスリートに飲んでもらえたのです」と、向山は感慨深げに振り返る。「個人的にも貴重な経験でしたが、これを会社の知見として残していくことも重要です。私たちも、先輩の残したノウハウに何度も助けられましたから」

「大変? いえ、すごく楽しかったですよ」と言うのは平野だ。「世界に挑むアスリートたちに貢献できるので、ものすごくモチベーションが高かったですね。思い切り開発にのめり込んでしまいました」

競技大会が始まる8月には、選手強化支援を担当するメンバーとともに加藤と大平が現地へ入り、アスリートたちと直接コミュニケーションを取りながらサポートを行った。
「現地では、本番直前までの食事やサプリメントの取り方について多くの質問を受けました。トップアスリートたちがいかに体調管理や栄養摂取に神経を使っているか、肌で感じることができ、勉強になりました」と大平は言う。

「実は、製品が出た後も実験データを取り続けていたのです」と加藤は言う。「定められた時間の中でベストのものを出せたとは思いますが、世の中にとってはベターでしかないかもしれません。研究者としては、最高のものをどこまでも追い続けたいのです。“次”に向けた研究は、もう始まっています」

大会終了後、アスリートたちにアンケート調査を行ったところ、実に9割の選手から「実感があった」という回答が寄せられた。製品は市販され、今では誰もが手軽にリカバーパワーを手にできる。
小笠原は言う。「アミノ酸研究というシーズから、こんなにも影響力ある製品を発信できたのも、味の素KKだからこそだと思います。常に挑戦の舞台を与えてくれるこの会社に、感謝です」。