味の素グループ統合報告書2017
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確かな足跡、新たなる一歩社長メッセージ14ASVの進化とサステナブルな成長の実現へ  私たちに対する社会・資本市場におけるステークホルダーの皆様のご意見を総合すると、「財務指標と非財務指標の向上を通じた持続的成長への期待」であると捉えています。 しかし、ステークホルダーごとに主要指標の優先順位や達成への時間軸に違いがあり、時に相反するように見える場合があります。そこで私たちは、このギャップを極力矛盾なきものとするために、私たちが対処すべき社会課題とコアコンピタンスである「先端バイオ・ファイン技術とそこから生まれたおいしさ設計技術」と「徹底した現地・顧客適合のマーケティング力」をもとに「ASVを通じた価値創造ストーリー」を中軸にした17-19中計を作成しました。現状の課題認識  現在の味の素グループを、目指す姿であるトップクラスのグローバル食品企業グループと比較した課題は次の通りです。 まず、財務指標、すなわち事業の規模、利益を創出する効率性に課題があります。2014-2016中期経営計画(以下、14-16中計)においては、「FIT & GROW with Specialty」を基本方針に、更なる事業構造強化(FIT)と成長ドライバーの展開(GROW)を進めてまいりました。その結果、食品とアミノサイエンス事業のスペシャリティ事業の営業利益は着実に 伸長し、当初計画を上回りましたが、グローバル競争の激化に伴いコモディティ化した一部事業の収益悪化の影響を打ち返すまでには至らず、グループ全体での営業利益額・利益率目標、ROE目標は未達成となり、17-19中計でも「FIT&GROW」戦略によるスペシャリティ事業への構造改革は、最重要戦略です。 次に社会課題への対処については、ガーナなど途上国の栄養に関する先進的な取り組み事例や日本の高齢者栄養に関する社会課題に対する貢献、温室効果ガス削減や、廃棄物のゼロエミッションなどの環境課題に関する取り組みに特筆すべき成果を上げてきました。しかし、グローバル基準で見ると、「環境」「社会」「ガバナンス」(ESG)を網羅したグループ全体でのポリシーの表明や、地域社会全体に対する社会課題解決への道筋を示そうとする取り組みに不足があると考えています。これらの課題は、2016年の統合報告書に対して、社会・資本市場を代表するオピニオンリーダーの皆様から寄せられたご意見と合致しており、17-19中計で新たに取り組むことにしました。

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