味の素「食と健康」国際協力ネットワークプログラム(AINプログラム)

味の素「食と健康」国際協力支援プログラム

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  • 2012年
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  • 2010年

AIN事務局からのお知らせ
2012年度支援事業を決定しました。

 味の素グループは、開発途上国の人々の生活の向上を目指し、「食・栄養分野の国際協力」の現地活動に対し助成を行っています。このたび、2012年度支援事業として計6件の助成を決定いたしました(申請件数:計19件)。

事業名 実施団体名(寄付先) 実施国 期間
(年)
助成総額
(千円)
1. プノンペン市貧困地区の
母親エンパワーメントによる家庭の栄養改善
日本カトリック信徒宣教者会 カンボジア 3 5,690
2. ダッカ市のストリートチルドレン及び
児童労働者に向けた栄養価の高い
昼食提供プロジェクト
認定NPO法人
国境なき子どもたち
バングラデシュ 3 4,310
3. 『健康な食』 インド思春期女性意識改善・
人材育成プロジェクト
特定非営利活動法人
地球市民ACTかながわ/TPAK
インド 2 3,850
4. 子どものための地場の栄養改善事業
公益社団法人
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
ベトナム 3 5,940
5. 地域特有の食材及び料理の再評価による
地域住民の栄養改善プログラム
光の子どもたちの会 ブラジル 2 3,410
6. スラムに居住する母親に対する
食育プロジェクト
特定非営利活動法人
ADRA Japan
ペルー 2 3,940
(総額27,140千円)
1.選考委員一覧および総評
2.助成事業概要と推薦理由
3.2012年度支援事業一覧(2010年度・2011年度開始事業含む)

2012年度支援事業 応募要項

1.選考委員一覧および総評

(◎代表、○副代表:2012年3月時点)(敬称略・五十音順)
◎溝田 勉 長崎大学名誉教授、NPO ピース・ミュージアム理事
○佐藤 都喜子 独立行政法人国際協力機構 国際協力専門員
伊藤 道雄 立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授、ACC21代表理事
遠藤 保雄 仙台大学客員教授 兼 東京事務所 所長、東京農業大学客員教授
中村 丁次 神奈川県立保健福祉大学学長、社団法人日本栄養士会会長
山本 秀樹 帝京大学公衆衛生大学院教授
岩本 保 味の素株式会社 取締役専務執行役員

 今回の公募では、昨年に引き続き、地域の食材や食文化継承の視点を含めた栄養改善活動について、多くのご提案をいただきました。中でも、未だ明らかにされていないそれらの食材の栄養価を測ることによって、科学的な根拠に基づいた栄養改善を目指している活動が顕著でした。また、年々増えつつある都市部貧困地域(スラム等)での栄養改善に関して、従来は提供型が中心であった子どもたちへの「給食」に、母親や雇用主を対象者に加えた「食育」を組み合わせた活動が複数あり、食を通して、子どもの身体的・精神的・社会的な健全な成長を促す大人の役割の強化を意図する、意義ある内容と認識いたしました。そしてプロジェクト運営上の特長として、ネットワーク型NGO(本文内では、自組織でプロジェクトはもたないが、実際の現場をもつメンバー団体を有するNGOとして解釈)を通じての申請も複数頂戴しました。理念に共鳴する現地NGO等をメンバーとする団体ならではの、波及効果やPR力の可能性を認識いたしました。
 すべての申請案件につきまして、特に「食・栄養分野の活動の位置づけが明確であること」「住民主体の実践活動であること」「自立発展の視点を有すること」および「実施体制が明確であること」を重視し、審査をさせていただきました。

2.2012年度助成事業の概要と推薦理由

助成番号12-01
団体名 日本カトリック信徒宣教者会
事業名 プノンペン市貧困地区の母親エンパワーメントによる家庭の栄養改善
実施国・地域 カンボジア プノンペン市郊外ステンミエンチャイ地区ルッセイ村第17地区
実施期間 2012年4月1日~2015年3月31日 (3年間)
助成額 総額5,690,000円(1年目:1,930,000円、2年目:1,830,000円、3年目:1,930,000円)
活動内容 首都プノンペン郊外の対象地域では、多くの住民がゴミ集積場で有価物を収集して生計を立てている。経済的・衛生的に劣悪な生活環境であることから、栄養失調や皮膚病、呼吸器系の病気を患う子どもが多い。子どもや家族の栄養状態を改善するために、母親が栄養についての知識を増やし、入手可能な食材を活用して栄養バランスのとれた食事を家族に提供できるようになることを目指す。
〔主な受益者〕地域住民:935名、母親:180名、子ども:90名
推薦理由 貧困・衛生状況等の極めて厳しい対象地域において、人々の生活向上支援に多様な実績をもつ団体が実施する「母親への啓発活動による家族の栄養改善」は、段階的な成果をねらった地道な計画となっており、着実な成果が期待できる。給食を「一時的な栄養の充足」に留めず、「家庭内食事の充実のきっかけづくり」として位置づけている点を評価する。本事業を通じて、限られた食材を最大限に活用し、既存の給食や家庭内での食事が栄養バランスのとれた内容になることを期待する。
関連する味の素グループ海外法人(以下同):<カンボジア味の素社>

助成番号12‐02
団体名 認定NPO法人 国境なき子どもたち
事業名 ダッカ市のストリートチルドレン及び児童労働者向けた栄養価の高い昼食提供プロジェクト
実施国・地域 バングラデシュ ダッカ市シュバッダ サウス・ケラニゴンジ ロウフ・ナゴール ア・ラフマン・タワー
実施期間 2012年4月1日~2015年3月31日 (3年間)
助成額 総額4,310,000円(1年目:1,270,000円、2年目:1,440,000円、3年目:1,600,000円)
活動内容 アジア最貧国のひとつバングラデシュでは、ストリートチルドレンとして路上生活を送る多くの子どもたちは、貧困のため食事すら満足にとれず、慢性的な栄養失調状態にある。団体が運営するストリートチルドレン支援センターでは、労働に従事する子どもたちに対して栄養価の高い昼食を提供し、子どもたちの雇用者や地域住民に対しても、栄養バランスのとれた食事の大切さについて広く伝え、子どもたちの健康状態の改善を目指す。
〔主な受益者〕子ども:40名
推薦理由 バングラデシュが抱える社会問題のひとつである児童労働に向き合い、食を通して、ストリートチルドレンの心身面での支援を行う意義は大きい。団体と現地カウンターパートが長年培ってきたインフォーマル教育や職業訓練の知見を活かし、給食提供のみならず食育を統合することは、成人した後の食生活にも好影響を与える可能性を秘めている。本事業が、団体の進める「行政等への提言活動」の一端に貢献することを期待したい。
<バングラデシュ味の素社>

助成番号12-03
団体名 特定非営利活動法人 地球市民ACTかながわ/TPAK
事業名 『健康な食』 インド思春期女性意識改善・人材育成プロジェクト
実施国・地域 インド ウッタラーカンド州デラドゥン県ヴィカースナガル郡
実施期間 2012年4月1日~2014年3月31日 (2年間)
助成額 総額 3,850,000円 (1年目:1,870,000円、2年目:1,980,000円)
活動内容 団体が2010年に実施した思春期女性1000名への健康調査では、その100%が貧血状態であった。数年の間に妊産婦となる可能性の高い思春期は、体の基礎づくりが重要な時期だが、対象地域では栄養価の低い質素な伝統食をとっており、鉄分不足による貧血は深刻な問題である。思春期女性の中から「健康な食」推進リーダーを育成し、栄養改善の普及活動を行うことによって、女性自らの力で健康な身体づくりができるようになることを目指す。
〔主な受益者〕思春期女性:5,000名
推薦理由 思春期女性の健康は社会的ニーズが高く、また先行事業に関わる現地カウンターパートや女性グループとの関係のもと実施される事業は実行可能性が高い。「健康な食」を推進する女性リーダーが育ち、地元での継続的な活動の実現に期待したい。栄養に関する基礎知識の提供や健康診断等、ベーシックな活動に加え、地域で入手しやすい伝統食材の発掘と普及等、新たな手法も組み合わせており、時間を要する食意識・食行動の変容に向けた工夫がなされている点を評価する。
<インド味の素社>

助成番号12-04
団体名 公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
事業名 子どものための地場の栄養改善事業
実施国・地域 ベトナム イェンバイ省及びクワンチ省各5村、計10村
実施期間 2012年4月1日~2015年3月31日 (3年間)
助成額 総額5,940,000円(1年目:1,970,000円、2年目:1,970,000円、3年目:2,000,000円)
活動内容 前回支援では完全母乳育児を推進し、子どもの栄養状態に一定の改善がみられたものの、農業生産が米などの特定の作物に限られている地域では、栄養の知識や調理技術が提供されても、継続的な栄養改善は困難であった。今回は、山岳地域に住む貧しい少数民族の人々が、近隣の森や川などから無料で入手可能な自然資源や家庭菜園を活用して、安定的な食料確保と乳幼児の栄養改善をねらう。
〔主な受益者〕2歳未満の子ども:約2,700名、母親・妊産婦:約3,700名
推薦理由 貧しい少数民族が最小限の投資で食料を効率的に確保するために、農業生産に限定せず、無料で入手できる自然資源を活用した手法の開発は革新的であり、多様な少数民族を抱える同国において、波及効果が期待できる。農作物の生産時期(=収穫できない時期)に子どもの栄養状態が悪化することは多くの研究報告があり、意義のある活動である。
<ベトナム味の素社>

助成番号12-05
団体名 光の子どもたちの会
事業名 地域特有の食材及び料理の再評価による地域住民の栄養改善プログラム
実施国・地域 ブラジル セアラ州アラカチ市カノア・ケブラーダ地区
実施期間 2012年4月1日~2014年3月31日 (2年間)
助成額 総額 3,410,000円 (1年目:1,470,000円、2年目:1,940,000円)
活動内容 前回支援では、栄養改善講座や菜園活動などを行った結果、子どもや母親の食への関心が高まり、一部の食生活については改善したが、地域住民全体に日常的に根付くには至らなかった。今回は、野菜・果物への関心が極めて低い対象地域で課題となっている肥満や高血圧など生活習慣病の予防・改善を目的に、地域住民自らが地域の海や森で採れる食材の栄養価を確認し、それらを活かした料理づくりを行う。地場では採れない新たな食材も組み合わせながら、栄養価の高い料理が、日常的に家庭内で提供されるようになることを目指す。
〔主な受益者〕生活習慣病の大人:60名、青少年:10名、母親:10名、漁師:10名
推薦理由 野菜・果物摂取への関心が極めて低い対象地域において深刻な健康問題である肥満や高血圧等の生活習慣病の予防・改善に目を向け、地場食材の活用および地域保健プログラムとの連携による啓発活動は、住民参加性の高い取り組みであるばかりでなく、地元の食資源の再評価・保護にもつながる点を評価する。前事業を通して培った成果(母親と子どもの食意識向上)や栄養部門を有する地元大学とのネットワークを最大限に活用して、子どもから高齢者までのより多くの層や、同様の課題を抱える他地域に対しての波及効果も期待したい。
<ブラジル味の素社>

助成番号12-06
団体名 特定非営利活動法人 ADRA Japan
事業名 スラムに居住する母親に対する食育プロジェクト
実施国・地域 ペルー リマ県リマ市プエンテ・ピエドラ区ラデラス・デ・チジョン
実施期間 2012年4月1日~2014年3月31日 (2年間)
助成額 総額 3,940,000円 (1年目:1,980,000円、2年目:1,960,000円)
活動内容 対象地域では、子どもの多くが深刻な栄養失調と貧血状態にある。食事づくりを担う地域の食堂スタッフや、母親や学校教師などに栄養教育を行うコミュニティプロモーターを対象に、栄養の大切さや知識を理解してもらうための研修を実施する。子どもたちの貧血削減を目指すと同時に、家族の栄養改善や、細菌感染への抵抗力の向上も期待できる。
〔主な受益者〕女性リーダー:60名、母親:240名、小学生と就学前子どもの保護者:100名
推薦理由 都市部スラムでの栄養問題の内、特に深刻な小児貧血に焦点を置き、コミュニティプロモーターや地域食堂の炊き出しスタッフを栄養改善活動の主体者とする取り組みは、住民の経済面等の実情がよく配慮されることなどから、地域に根付く可能性が高く、公益性に富む。対象地域でのインフォーマル教育を通じて培ってきた行政や学校との良好な関係を活かし、より多くの受益者、ひいては他スラムへの波及効果を期待したい。
<ペルー味の素社>

3.2012年度支援事業一覧(2010年度・2011年度開始事業含む)

<2010年度/2011年度開始>
事業名 団体名 実施国 期間
(年)
助成額
(千円)
<2010年度開始>
貧困農村の母子の持続的な栄養改善を目指す
食育プログラム
特定非営利活動法人
ハンガー・フリー・ワールド
バングラデシュ 3 1,000
<2011年度開始>
学校給食のための農業プロジェクトと
栄養教育の普及
THE EDUCATION FOR DEVELOPMENT
FOUNDATION (EDF)
タイ 2 1,900
栄養と健康増進啓発プロジェクト 特定非営利活動法人
宮崎国際ボランティアセンター
インド 2 1,640
農村女性のエンパワーメントを通した生活環境の
改善と地場産業の育成
財団法人 オイスカ インドネシア 3 1,560
小学生の生活習慣病予防のための健康的食事と
運動の推進~学校における栄養的介入活動
Ho Chi Minh City Nutrition
Center
ベトナム 3 2,000
先住民族オラン・アスリの女性による、
幼児の健康・栄養改善
UNIVERSITI PUTRA MALAYSIA(UPM) マレーシア 3 1,040
サン・パウロ市南地区及び東地区における社会的
弱者を対象とした健康栄養推進プロジェクト
SALUS ASSOCIAÇÃO PARA A SAÚDE -
NÚCLEO SALUS PAULISTA(CREN)
ブラジル 2 2,000
小計:11,140千円


<2012年度開始>
事業名 実施団体名(寄付先) 実施国 期間
(年)
助成額
(千円)
プノンペン市貧困地区の母親エンパワーメントによる
家庭の栄養改善
日本カトリック信徒宣教者会 カンボジア 3 1,930
ダッカ市のストリートチルドレン及び児童労働者に向けた
栄養価の高い昼食提供プロジェクト
認定NPO法人
国境なき子どもたち
バングラデシュ 3 1,270
『健康な食』 インド思春期女性意識改善・人材育成
プロジェクト
特定非営利活動法人
地球市民ACTかながわ/TPAK
インド 2 1,870
子どものための地場の栄養改善事業 公益社団法人
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
ベトナム 3 1,970
地域特有の食材及び料理の再評価による地域住民の
栄養改善プログラム
光の子どもたちの会 ブラジル 2 1,470
スラムに居住する母親に対する食育プロジェクト 特定非営利活動法人
ADRA Japan
ペルー 2 1,980
小計:10,490千円

(計13件・助成総額 21,630千円)
以上