土壌調査とその対応

2002年9月17日
味の素株式会社

土壌調査結果ならびに対策について

昨今、工場跡地の土壌汚染や地下水汚染問題が社会問題となっています。平成15年1月には「土壌汚染対策法」が施行される予定となっており、政省令の整備が関係官庁等において進められています。味の素(株)グループにおいても、土壌汚染に関する基本方針を定め、調査を行い、管理強化を進めています。
川崎事業所では従前より環境対策を継続してきていますが、このたびの「土壌汚染対策法」の施行に先立ち、30年ほど前に当社の廃棄物処分場であった川崎市宮前区有馬に所有する土地について、土壌および地下水の調査を実施しました。また、川崎事業所内敷地の土壌および地下水の調査を実施しました。以上につき現在まで判明している事実について、内容と今後の対応をお知らせいたします。
なお、当社グループでは行政のご指導、周辺住民の皆様のご理解、ご協力をいただいて、今後も管理強化に努めてまいります。

1.宮前区有馬所有地について

1-1.経緯

当該敷地は現在、社宅およびテニスコートとして利用していますが、昭和41年から45年にかけて、谷間地形を利用して川崎工場の廃棄物を埋め立てていました。その後、昭和53年に宅地造成に伴う換地により現在の所有地形状となりました。土壌汚染対策法施行に備え、実態を調査し今後の管理方法を検討する必要があり、4月から7月にかけて所有地全域について土壌と地下水の調査を行いました。その後、当該地の管理方法等について検討をかさね、このたび、結果がまとまりましたので川崎市に9月4日報告をしました。
(土壌調査:地点23、試料259地下水調査:地点16試料22)

1-2.結果

覆土:
全域にわたり充分な盛土やアスファルト舗装等により覆土されています。
埋設物:
廃棄物はテニスコートおよびクラブハウスの地下を中心に埋め立てられていることを確認しました。その内容は建築廃材、ガラス、ゴムなど雑多なものでした。
土壌:
基準を上回る項目としては、主に水銀が検出(溶出量基準で8地点、12試料、最大値で基準の44倍、含有量基準で12地点、49試料、最大値で基準の78倍)されました。
地下水:
環境基準を上回る項目はありません。
地中の溜まり水(宙水)の2箇所から、ほう素が環境基準の1.2倍、1箇所から硝酸性窒素および亜硝酸性窒素が1.1倍検出されましたが、水銀等で環境基準を上回るものはありませんでした。

1-3.原因

水銀については、当社川崎工場で昭和49年まで水銀電解法により苛性ソーダの製造を行っており、その電解工場からの廃棄物が混入したことが主な原因と思われます。

1-4.見解

  • 1)基準を上回る重金属等が検出された箇所は、廃棄物は充分な覆土やアスファルト等により封じ込められている
  • 2)地下水に異常がない

ことから、当社では、現状、近隣住民の皆様の健康や周辺環境への影響は極めて少ないと判断しています。このことは専門家の見解をいただいています。

1-5.対策

今後今回調査に使用した井戸を残し、定期的に地下水の状況を観察していきます。また、近隣住民の皆様には去る14〜16日に説明を行い、これからも誠意を持って対応してまいります。

2.川崎事業所について

2-1.今回の調査地

経緯
平成14年2月から5月にかけて、川崎市公害防止等生活環境の保全に関する条例に基づき土壌および地下水の詳細調査を実施しました。その後中間処理の方法等土壌の処理方法について検討し、このほどめどがたちましたので、川崎市に9月10日報告をしました。
(土壌調査:地点23、試料142地下水調査:地点8、試料9)
結果
土壌:基準を上回る項目としては、主に水銀が検出(溶出量基準で5地点、10試料、最大値で基準の126倍、含有量基準で12地点、21試料、最大値で基準の40倍)されました。
地下水:環境基準を上回る項目はありませんでした。

2-2.原因

当該地における水銀が基準を上回った原因は、電解工場から出された廃棄物がその他の廃棄物等と共に埋め立てられた結果と推察されます。

2-3.見解

  • 1)基準を上回る重金属等が検出された箇所は、アスファルト等により封じ込められている
  • 2)地下水に異常がない

ことから、当社は当該地による近隣住民の皆様の健康や周辺環境への影響は極めて少ないと判断しています。

2-4.対策

上記川崎市条例に則り、汚染の程度にしたがって適切な処理を行います。なお、本件につき近隣住民の代表者に9月17日説明を実施します。

2-5.その他の川崎事業所敷地

当社ではこれまでも環境対策を行ってきましたが、これからは土壌および地下水の管理レベルをさらに上げるために調査を進めていきます。今後必要に応じ対策を講ずるとともにスクラップ&ビルドの折には土壌改善を含めて適切な対応を図ります。

3.土壌汚染問題に関する当社グループの今後の対応

当社グループでは土壌汚染に関する基本方針を以下のように定め、今後も管理強化に努めていきます。

  • 1)土壌汚染関連法規(法律、条例)を遵守する
  • 2)人の健康、周辺の環境への影響がないよう管理する
  • 3)当社のステークホルダーに必要な情報を適切に開示する
  • 4)新たな土壌汚染を防止する

この方針のもと、当社グループ所有地の土壌汚染状態の総点検に着手しております。 今後、対策が必要な箇所には行政のご指導を仰ぎながら早急に適切な対応をし、情報開示を行うとともに近隣の皆様に対してもご迷惑がかからぬよう万全を期し、誠意を持って対処してまいります。

以上