土壌調査とその対応

2008年12月5日
味の素株式会社

味の素ファインテクノ株式会社汚染土壌浄化工事計画

1.はじめに

味の素グループでは「土壌汚染防止に関する基本方針」を定め、土壌・地下水を中心に自主調査を行い、汚染が見つかった場合は順次浄化を進めています。
今回、川崎事業所に隣接する味の素ファインテクノ株式会社本社でVOC(揮発性有機化合物)による土壌汚染の浄化工事を実施することをご報告します。
味の素ファインテクノ株式会社では昭和63年まで塩素化パラフィンの反応溶剤として四塩化炭素を使用していた履歴があり、2002年に行った自主調査で四塩化炭素による土壌汚染が見つかり、その結果をホームページにて公開いたしました。その後、味の素ファインテクノ(株)では、汚染箇所の上に建つ建築物の解体撤去工事や詳細な汚染状況の把握調査、浄化方法の検討を続け、VOCによる土壌汚染の浄化計画を川崎市の指導のもとで策定し、12月4日に川崎市へ提出しました。

2.調査結果:汚染範囲の特定

2003〜2005年にかけて味の素ファインテクノ本社全体、及び一部味の素(株)川崎事業所のVOC汚染分布を調査し、汚染範囲を特定いたしました。その結果、四塩化炭素による土壌汚染が確認された敷地南側のエリアの汚染状況を詳細に把握するため、今回11箇所の地下10mまでのボーリング調査を実施しました。

  • [1]土壌溶出量:今回の対策工事箇所のほぼ中央の地下2m付近に環境基準の22,000倍の高濃度汚染があり、そこが汚染源と推定され、その周囲に比較的高濃度の汚染(最高1,100倍)が見つかりました。また、四塩化炭素の土壌汚染は、概ね比較的浅層部に留まっていますが、2地点でそれぞれ地下6mと地下9mの非常に狭い範囲に4,200倍と1,000倍の汚染が見つかりました。四塩化炭素以外でも、テトラクロロエチレンなどのVOCが、環境基準超過(最高25倍)が四塩化炭素汚染と同じ箇所で見られました。
  • [2]地下水:汚染エリアは概ね[1]の土壌汚染エリア内の狭い範囲に留まっており、最高6,500倍の四塩化炭素汚染が見つかりましが、汚染の程度は土壌汚染レベルより低い傾向でした。敷地外への影響を確認するため、近隣住民側敷地境界を中心に5箇所で観測井戸の設置・ボーリング調査(2002年〜2003年)を実施しましたが、四塩化炭素の溶出量はすべて基準値以下でした。汚染は敷地内に留まっており、地下水を介しての敷地外への影響はないと判断しております。

3.工事計画

四塩化炭素で汚染された土壌は、環境基準の10倍以上の汚染を対象に、下記のような対策により慎重に処理します。

1)工期:2008年12月8日〜2009年3月31日

2)浄化工事内容

  • [1]浅層部(<G.L.-3m)汚染土壌:すべて掘削除去し、場外の処理施設に搬出します。(対象土壌量600m3)
  • [2]深層部(>G.L.-3m)汚染土壌:地下6mと9mの高濃度汚染土壌は掘削除去が困難なため多孔管方式高圧噴射置換工法により除去します。排出した土壌は、[1]と同様に場外の処理施設で適切に処理します。(対象土壌量50m3)
  • [3]汚染地下水:汚染地下水を揚水し、現場に設けた浄化プラントにて浄化します(曝気-活性炭吸着)。浄化後の処理水は下水道放流基準をクリアすることを確認した後に公共下水道に放流します。

4.工事中の保全対策

汚染土壌の飛散に留意し、周辺環境に影響を及ぼさないように工事を行います。

  • [1]飛散防止対策:掘削中は適時散水を実施し、粉塵の飛散を防止します。運搬の際は、車両の荷台を養生シートで覆い、粉塵の飛散を抑えます。運搬車両のタイヤに付着した土が飛散しないように工事区域内でタイヤを洗浄します。
  • [2]汚染土壌の処理:汚染土が周辺の土に混ざらないように仕切りプレートを設置します。周辺の大気をモニタリングして、ガスが周囲に漏れ出していないか確認しながら作業を進めます。

5.今後の対応

地下水への影響を監視するため、今後も3ヵ月に1回の地下水モニタリング調査を継続します。
2002年の調査で、味の素ファインテクノ本社敷地内で汚染が見つかった箇所のうち、敷地西側の水銀汚染は浄化工事を実施し、除去済みです。

6.問い合わせ先

味の素ファインテクノ(株)総務部  電話044(221)2370

以上