2012年2月15日
アミノ酸L−イソロイシン※1配合の濃厚流動食※2
糖尿病患者の血糖コントロール※3を実現
第27回日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)で発表[2012年2月23日(木)〜24日(金)]
 味の素株式会社(社長:伊藤雅俊 本社:東京都中央区)が研究を進めているアミノ酸L−イソロイシン配合濃厚流動食を、加齢や疾病により通常食が摂取できない糖尿病患者が長期間摂取(経鼻または胃ろう※4)することで、糖尿病治療の評価基準である血糖コントロールや栄養改善に効果があることが、医療機関の自主臨床研究でわかりました。

 本研究の成果は、第27回日本静脈経腸栄養学会(JSPEN、2012年2月23日〜24日 神戸にて開催)において、5つの医療機関(*)から6演題(口頭)が発表される予定です。
 本研究を通じて、この新しいメカニズムを有するL−イソロイシン配合濃厚流動食が、長期摂取によって血糖コントロールを実現し、栄養改善にも貢献することが示唆され、糖尿病患者の栄養管理の新たな選択肢となることが期待されます。

 【研究発表の内容】
 糖尿病治療の評価指標のひとつに、血糖コントロール(糖尿病ガイドライン[日本糖尿病学会])がありますが、その主要な判定はHbA1c※5とされ、血糖値はそのHbA1cを補完する指標と言われています。アミノ酸L−イソロイシンは、摂取した糖質が吸収された後に筋肉へ取込まれることを促進することで、血糖値の上昇を抑制する(低下させる)効果があり、血糖コントロールも期待できます。
 これまで、当社、日本静脈経腸栄養学会・臨床試験委員会及び医療機関との共同研究※6において、L−イソロイシン配合濃厚流動食が、一般の濃厚流動食と比較し、摂取2時間後の血糖値の上昇を有意に抑制する(低下させる)ことが確認されています。今回、5つの医療機関の自主臨床研究における、L−イソロイシン配合濃厚流動食の長期摂取による血糖コントロールの効果について発表されます。
 研究成果の1つとして、L−イソロイシン配合濃厚流動食を摂取することで、(1)血糖コントロール指標であるHbA1cが維持・改善し、(2)栄養(Alb※7)状態も改善することが発表される予定です。

 

 濃厚流動食は加速する高齢化社会のなかでその需要が増加しています。また加齢にともない糖尿病患者も増加し、栄養状態も悪化する傾向にあります。当社は、アミノ酸L−イソロイシン配合の濃厚流動食が新しい糖尿病患者の栄養管理の1つの選択肢になることを期待し、さらにアミノ酸研究を進めていきます。そして、様々なアミノ酸機能研究の活用により、医療現場での健康課題の解決を図るとともに、「おいしさ、そして、いのちへ。」というコーポレートスローガンのもと、今後も世界の食の課題解決と人々の健康な生活に貢献していきます。

【第27回日本静脈経腸栄養学会での発表】(*)
 医療法人静可会三加茂田中病院・栄養管理サービス課・佐藤 晴美、他(1演題)
 財団法人信貴山病院ハートランドしぎさん・栄養部・岡田 有司、他(1演題)
 金沢病院・内科・高田 耕二(2演題)
 医療法人三重愛心会・四日市青洲病院・看護部・川羽田 安永、他(1演題)
 特定医療法人葦の会オリブ山病院・診療部・梶原 ひろみ、他(1演題)

 

1 アミノ酸L−イソロイシン
 乳製品、肉類などに多く含まれる必須アミノ酸であり、ヒトでは体外からの摂取によって補給されます。サプリメントやスポーツ飲料に配合されているアミノ酸BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)のうちの1つです。
2 濃厚流動食
 病気や加齢による身体機能の低下により通常の食品が摂取できない場合や栄養状態が悪い時に摂取する栄養素が総合的に豊富に配合された液体型の食品であり、口から摂取する代わりに、経鼻・胃ろうから投与されます。
3 血糖コントロール
 糖尿病ガイドラインで規定された糖尿病治療の評価基準であり、その中でもHbA1cは主要な判定と規定されており、血糖値はこのHbA1cを補完する検査項目とされています。この血糖コントロールが糖尿病治療の目標となっています。
 
4 経鼻・胃ろう
 濃厚流動食を摂取するためのルートとして、鼻からチューブを通して栄養を入れる経鼻ルート、胃に穴をあけて、その穴から直接胃に栄養を入れる胃ろうルートがあります。
5 HbA1c
 糖尿病治療の目的である良好な血糖コントロールを確認するための採血検査項目の1つ。血糖コントロール指標の中でも、HbA1cは重視されており、血糖値(空腹時、食後2時間)はHbA1cを補完する項目です。
6 日本静脈経腸栄養学会・臨床試験委員会及び医療機関との共同研究
 本報告より前に、日本静脈経腸栄養学会・臨床試験委員会が主体となって実施した臨床試験により、L−イソロイシン配合濃厚流動食が、一般の濃厚流動食と比較し、摂取2時間後の血糖値の上昇を有意に抑制する(低下させる)ことが確認されています。
7 Alb(アルブミン)
 栄養状態を判定する採血検査項目の1つ。Alb3.5未満は低栄養と判断されます。
 

【参考:第27回日本静脈経腸栄養学会におけるランチョンセミナーの開催(味の素(株)共催)】
    L−イソロイシン配合濃厚流動食の医療現場における様々な可能性について、医師、コメディカル(医療従事者)を対象にした講演会が開催される予定です。
ランチョンセミナー「Meet the Experts8」概要
開催日時 2012年2月23日(木)12時00分〜13時00分
場   所 神戸国際会議場 1階 メインホール
タ イ トル 「L−イソロイシン配合糖尿病用経腸栄養剤による血糖管理」

報道関係の方向けお問い合わせ先:pr_info@ajinomoto.com
 
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