うま味について

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うま味について

「うま味」の歴史は1908年、東京帝国大学理科大学(現・東京大学理学部)の教授であった池田菊苗博士が、当時の医学部学部長、三宅秀博士の「佳味は消化を促進す」という言に触発され、コンブ抽出液(昆布出汁)に含まれるL-グルタミン酸塩の特徴的な呈味を発見、翌年発表した論文(新調味料に就て、東京化学会誌、1909年)の中で「うま味」と命名したことからはじまります。英語にはうま味に該当する言葉がなかったため、1982年に発足したうま味研究会が"umami"を学術用語として使用することを改めて提唱。
1990年代には甘味、苦味、塩味、酸味に続く第5の基本味として国際学会で認められ、専門用語"umami taste"となって、世界中で注目を集めるところとなりました。

うま味について

「うま味物質」の新有用性

うま味物質は、基本味うま味を食べ物に付与するだけでなく、風味を増すことで食べ物をおいしくし、嗜好性を高めて食欲を誘発させます。また、最近の研究では、生物が生存していく上で必要な食物の選択、摂取、消化・吸収と代謝などの調節に根本的に関わる重要な役割を果たしていることがわかり、人の生活の質(QOL)をより良くする物質として、さらなる未知の有用性発見が期待されています。

「うま味物質」の新有用性

消化管におけるうま味の受容機構を解明する

胃や腸ではアミノ酸が迷走神経を介して内臓感覚を誘発することが知られていました。特にラットで詳細に調べると、迷走神経胃枝の求心路は、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の中では、グルタミン酸のみに特異的な応答を示すことが近年見いだされました※1。また、迷走神経求心路の脳への入力先は、島皮質、大脳辺縁系や視床下部であり、摂食や消化・吸収と代謝の調節を担っている脳部位であることが明らかとなりました。うま味は、味覚として食物の摂取に関係するだけではなく、内臓感覚として消化にも深く関わっています。現在、食物摂取の脳での認知、および消化の引き金としてのうま味物質の有効活用に関する研究が国内外で進んでいます。

※1
出典:Uneyama H, Niijima A, SanGabriel A, et al: Luminal amino acid sensing in the rat gastric mucosa. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 291: 1163-1170, 2006

消化管におけるうま味の受容機構を解明する

迷走神経は胃や小腸内の食物情報を脳へ伝える特殊感覚神経です。消化管表面で感知されたグルタミン酸の情報は、この迷走神経を通じて脳へ伝わります。

消化管におけるうま味の受容機構を解明する

うま味は消化を助ける

1990年代、ロシア科学アカデミーから、うま味物質を用いた消化促進に関する知見が相次いで報告されました※2。彼らは、イヌの餌にグルタミン酸を含むうま味物質を添加すると胃液分泌を促すこと、また消化能力の低下した慢性萎縮性胃炎の患者では、グルタミン酸ナトリウムを添加した食事をとることによって胃酸分泌能力が改善されることを見出しています。そして近年、このグルタミン酸の胃液分泌作用は、内臓感覚を介するものであることが、私たちと、ロシアのパブロフ生理学研究所との共同研究から明らかになりました。また、最近のヒトの研究から、グルタミン酸は摂取した栄養素に依存して、胃から腸への食物の転送を調節することで、消化効率を上げている可能性が示されつつあります。

※2
出典:Vasilevskaia LS, Rymshina MV, Shlygin GK.. Effect of glutamate and combined with inosine monophosphate on gastric secretion. Vopr. Pitan. 1993; (3): 29-33.

うま味は消化を助ける

うま味は脂肪の蓄積を抑える

グルタミン酸は、過度な脂肪摂取による肥満形成を予防できる知見が動物実験により得られつつあります*3。高脂肪食で飼育しているラットの皮下及び内臓への脂肪の蓄積は、グルタミン酸を摂取することで抑制できることが分かりました。現在、先端的な脳科学研究手法を用いて、うま味物質を介する味覚や内臓感覚による脳でのエネルギー代謝調節機構の全貌を明らかにしようとしています。

※3
出典:Kondoh T, Torii K: MSG intake suppresses weight gain, fat deposition, and plasma leptin levels in male Sprague-Dawley rats. Physiol & Behav. (2008) : 95: 135-144, 2008

うま味は脂肪の蓄積を抑える

今後の展望

さらなる有用性が次々と発見される「うま味物質」。私たちは、改めて自分たちのオリジナルティに目をむけ、その有用性を広く知らせて、社会に還元していきたいと考えています。医師や栄養士といった国内外のオピニオンリーダーへの訴求、病者・高齢者のQOL向上をめざしたエビデンスの蓄積、味覚や内臓感覚の調節作用を活用した生活習慣病対策の構築など、グローバルな視点で、世界に向けて情報発信をしていきます。

先端技術の活用

呈味物質が、いわゆる「味覚」にとどまらず「内臓感覚」のシグナルとして、ヒトの健康にどのように役立っているかを知ること。そのためには、それぞれの受容機構の解明と、各々のシグナルが脳でどのように認知され生体の恒常性維持に役立っているかを知る研究が必要です。遺伝子・細胞など、バイオテクノロジー手法を利用した味覚受容体研究や、動物を用いた脳や消化管の生理機能研究などの最先端の研究、ヒト官能評価技術など、さまざまな技術を駆使し、うま味をはじめとする味覚とヒトの健康との関係を追求していきます。

グローバルな取り組み

食べ物をおいしくするうま味調味料を安価に供給し、食欲を増進させることで、貧栄養状態にある日本人を救いたい・・・。そんな思いとともに、一世紀前に池田菊苗博士が発見したうま味物質グルタミン酸は、安価かつ高品質のナトリウム塩として世界中の食文化に取り入れられ、食欲の向上と栄養改善の面において、いま、世界の食糧格差の問題に答えを出しはじめています。また、うま味物質は日本の高齢者から発展途上国の貧しい子供たちまで、グルタミン酸ナトリウムの有用性研究を通じて、世界の人々の健康に貢献しています。

グローバルな取り組み